糖尿病治療の3本柱といえば、
になりますが、ここでは運動療法について取り上げます。
運動療法には様々な効果がありますが、
急性効果:血液中のブドウ糖・遊離脂肪酸の利用促進⇒血糖値低下
慢性効果:インスリンの効き目をよくすることで、血糖値が下がりやすくなる減量効果、筋肉が減るのを防ぐ効果
その他にも、
血圧の低下、脂質代謝(中性脂肪を減らし、善玉コレステロールを増やす)の改善、心肺機能の向上
といったメリットがあります。
あと、運動療法の効果は2型糖尿病における血糖コントロールに限った事でなく、生活習慣病の予防・改善、肥満の予防・改善にも役にたちます。そして、「元気に、長生きする」のに大きなプラスの効果をもたらします。
先に、運動療法のポイントをまとめると次のようになります。
運動種目 | 有酸素性運動(ウォーキング、水泳、ダンスなど) |
---|---|
運動強度 | 息が切れる少し手前(楽~ややきつい) 無理なく会話が続けられる中等度で |
1回の運動時間 | 30分 ~ 60分 |
週当たりの運動頻度 | 週5回 ~ 可能なら毎日 |
運動のタイミング | 食後30分程度経った後から実施 (食後に血糖値が上がり切る前に実施できるのが良い) |
低血糖対策 | ブドウ糖を携帯して運動に出かける |
ウォーキングなど30分程度持続的に行える有酸素性運動(全身運動)に加えて、スクワットなど、体の大きな筋肉を鍛えるレジスタンストレーニングの実施もおすすめです。筋力が向上すると、運動が楽になるだけではなく、より大きな動作、よりエネルギーを消費する動作を行えるようになります。
同じ時間ウォーキングするなら、効果的に行いたいですよね!
ふくらはぎのストレッチなど、準備体操を行うことで関節がスムーズに動き、大きな歩幅で歩けますよ♪
ふくらはぎのストレッチなど、準備体操を行うことで関節がスムーズに動き、大きな歩幅で歩けますよ♪
糖尿病は、心臓、腎臓、目などの血管を詰まらせるなどの全身のあらゆるところに合併症を引き起こす病気です。
既に何らかの合併症が生じている場合には、運動がかえって悪影響になる可能性も考えられます。
また、これらの合併症は痛みなどもなく静かに進んでいき、大事になって初めて合併症の存在に気付くといったことも稀ではありません。
これから積極的に運動を始めようという場合には、一度主治医に相談された後に始められることをお勧めします。
体調が優れない時に運動を行うと、かえって悪影響となることもあります。
など、日々ご自身の健康チェックを行って頂き、体調が優れない時は運動量を減らしたり、運動を中止して体を休めることに専念するなど、無理をしないことも大切です。
体調が優れない時に運動を行うと、かえって悪影響となることもあります。
など、日々ご自身の健康チェックを行って頂き、体調が優れない時は運動量を減らしたり、運動を中止して体を休めることに専念するなど、無理をしないことも大切です。
お薬と、運動の相乗効果により、運動後に低血糖が生じる可能性があります。
低血糖対策として、は主に2つ。
①食前の運動は控える(可能な限り食後の運動をお勧めします)
②低血糖症状が現れた時の対処法として、ブドウ糖を携帯しておく
※またはブドウ糖を含むジュース150~200mLでも構いません。
低血糖の症状としては、下記に挙げるものが主な症状となりますので、万一症状が現れた際には、ブドウ糖(10g程度)を摂取して症状が改善するのを待ちましょう。症状が改善しないようなら、追加でブドウ糖を10g摂取し、それでも悪化してくるようなら迷わず周囲に助けを求めましょう。意識が無くなりそうな場合には、救急車を呼んで下さい。
あくび、めまい、だるさ
動悸、冷や汗
意識消失
迷わず周囲に助けを求めましょう。意識が無くなりそうな場合には、救急車を呼んでもらいましょう。
下のグラフのように、血糖値は食後に上昇し、時間が経つと下がります。食後に上昇した血糖値は、インスリンの働きにより低下するのですが、糖尿病ではインスリンの働きが低下しているため、血糖値のピーク(最大値)が高くなりやすく、また、なかなか下がってこないという状況が続きます。
そこで下図のように、食後の血糖値が上昇している時間帯に運動を行うことで、血糖値のピーク(最大値)を小さくすることや、血糖値の低下を促すことが期待できます。
血糖値は食後すぐに上がってきますので、運動を実施するタイミングとしては食事を始めてから30~1時間以内に運動を開始することをお勧めしますが、食後すぐの運動でお腹が痛くなりやすい方は、無理をせず実施時間の調整をして下さい。
あえて運動時間を確保する事が難しい場合の工夫としては、食べた後すぐに洗い物をする、掃除をする、買い物に行く、
テレビを見ながら足踏みをするなど日常生活のなかで、「食後に体を動かす仕組みづくり」を意識しましょう。