FleeStyleリブレ(以下リブレ® )は、アボットジャパンが販売する機器で、正式名称を間歇スキャン式持続グルコースモニタリングと言います。リブレ®は、血糖値の変動を持続的にモニタリングできる機器で、糖尿病治療に用いられており、実際当院でも使用しています。
リブレの特徴は、下記図のように、おおよその血糖値を
「点」ではなく、「線」として捉えることが出来るのが
最も大きな特徴です。
引用:abott社HP https://www.myfreestyle.jp/hcp/products/freestyle-libre/overview.html
その他の特徴として、
通常、血糖値を測るためには、指先に針を刺して米粒程の血液を採取する必要があり、1日に数回測定する必要がある場合は、その都度採血を行います。
血液中の血糖値を正確に測定できる反面、下記の図のように測定値が血糖値の上昇途中なのか、下降途中なのかといった、測定時以外の「血糖値の変動:トレンド」に関する情報がありません。
その点、 isCGM(リブレ®)は血糖値の変動を線でとらえることができるので、血糖値の上がり方、下がり方、最大値、最小値などを把握することが可能です。
引用:abott社HP https://www.abbott.co.jp/media-center/press-releases/10-10-2017.html
と非常に簡単に装着及び測定ができるのがisCGM(リブレ®)の特徴です。1日に数回の値を見る際にも、読み取り機をかざすだけでOK。1度装着してしまえば、通常の血糖測定のように、毎回採血をする必要はありません。
耐水性ですので、通常のお風呂やシャワーは問題ありません。
運動も行えますが、引っ掛けたりすると外れてしまうため注意が必要です。
医師の谷川が、実際にisCGM(リブレ®)を装着し、「ゆっくり食べた時」と「早食いした時」の血糖値のトレンドをお示しします。食事をした時を赤の矢印でお示ししております。
【上図】がゆっくり食べた時、【下図】が早食いした時。
両方ともに食事後に血糖値は上昇していますが、特に「早食い」をした時には、より大きな変化として現れていることが確認できます。血糖値の急上昇・・・血糖値スパイク呼ばれるものです。以下、谷川医師のコメントです。
日頃、
あれだけ…「早食いしないでくださいね」「一口食べたら、お箸を置いてくださいね」
と、言っているのに…昼間の忙しさで、10分で昼食をかきこむ生活をすると…
なんと、まさかのアラーム!(血糖値、高いです!)って!
別に、カツ丼かきこんだわけじゃないのに…
手作りのお弁当、バランスは取れています!
やっぱりー!早食いってダメなんだー!
そんなわけで…
やはり、早食いはお勧めできませんね。
日頃、
あれだけ…「早食いしないでくださいね」「一口食べたら、お箸を置いてくださいね」
と、言っているのに…昼間の忙しさで、10分で昼食をかきこむ生活をすると…
なんと、まさかのアラーム!(血糖値、高いです!)って!
別に、カツ丼かきこんだわけじゃないのに…
手作りのお弁当、バランスは取れています!
やっぱりー!早食いってダメなんだー!
そんなわけで…
やはり、早食いはお勧めできませんね。
isCGM(リブレ®)のデータを管理するための、スマートフォン用のアプリの事です。アプリケーションでは血糖変動をトレンドやパターンとして見える化することで、自分でおおよその血糖値の変動を把握、管理することがより簡便になります。 例えば、食事の後の血糖値の上がり方、最大値、血糖値の下がり方など、食事の内容によって血糖値がどのように変化するのかをグラフで見える化することができ、食事管理、血糖管理の道しるべとなります。
reeStyleリブレLink アプリは、無料でダウンロード可能です。
abbott社HP:https://www.myfreestyle.jp/patient/freestyle-libre-link/
引用abbott社:https://www.myfreestyle.jp/patient/freestyle-libre/feature.html
お手持ちのスマートフォンで操作できるので、
専用読み取り機よりも、大きな画面で見やすい!
頻回の採血の必要がなく、便利なisCGM(リブレ®)ですが、正確には血液中の血糖値を測定しているわけではありません。下記図のように、リブレ®では間質という細胞の隙間に存在する糖を測定しているため、血管を流れる血液中の血糖値とは若干の乖離があります。そのため、リブレ®で表示される値の解釈には注意が必要です。
引用:abbott社HP https://www.myfreestyle.jp/hcp/products/freestyle-libre/overview.html
血液に乗って運ばれてきた糖は、血管の外側にある組織に、滲みだしています。
その漏れ出た糖を測定しているのがリブレです。
両者にどの程度の差があるかについては次の項をご覧下さい。
前述のように、 isCGM(リブレ®)で表示された値と、実際の血糖値との間には測定誤差が存在します。 どの程度の差があるかに関しては、下記文献によると、 精度指標である MARD(mean absolute relative difference:誤差率の絶対値の平均値) が 11.4 %と報告されております。
Diabetes Technol Ther 2015; 17: 787-794
簡便な測定機器ではありますが、このように実際の血糖値との測定誤差がある事。また個人差も大きく、糖尿病治療として用いる際には、これまで通り、実際の血糖値測定も合わせて実施することが重要です。
簡便な測定機器ではありますが、このように実際の血糖値との測定誤差がある事。また個人差も大きく、糖尿病治療として用いる際には、これまで通り、実際の血糖値測定も合わせて実施することが重要です。
【メリット1】血糖コントロールの質を評価できる
【メリット2】夜間低血糖の評価が出来る
【メリット3】食後高血糖の評価が出来る
下図の青色のグラフのように、血糖値の日内変動が小さい方が、血糖コントロールの質がより良い状態と考えます。赤色のグラフのように増減幅が大きいということは、食後高血糖、食間や夜間の低血糖など、好ましくない血糖変動を生じている可能性があります。これらは通常の採血による血糖測定では発見できない事もあり、持続的に血糖変動をモニタリングできるisCGM(リブレ®)の大きなメリットであると言えます。
診断基準よりも少し手前から、影響が現れていることも
糖尿病の診断基準は確かに存在しますが、糖尿病に伴う体への悪影響(合併症)は、診断基準よりも前から進行していると考えています。
基準値というある点を境に「病気か」「病気でない」かと分かれるのではなく、グラデーションがあるという認識をもって早めに対応した方がよいというのが私の考えです。
糖尿病の診断基準は確かに存在しますが、糖尿病に伴う体への悪影響(合併症)は、診断基準よりも前から進行していると考えています。
基準値というある点を境に「病気か」「病気でない」かと分かれるのではなく、グラデーションがあるという認識をもって早めに対応した方がよいというのが私の考えです。
糖尿病の前段階から、体への悪影響が始まっているということを報告した研究を2つお示しします。
空腹時血糖値が正常でも、糖負荷2時間値が高いと総死亡のリスクが高まるという研究報告です。
こちらの研究は、日本の舟形町(山形県)で行われたものです。 耐糖能異常(糖尿病と診断される前段階)でも心血管疾患のリスクが高まる事が示されています
一回の装着で2週間、おおよその血糖値の変動を確認できるisCGM(リブレ®)の機能は、食後高血糖など糖尿病の前段階の把握にも有用だと考えられます。
血糖値を下げる働きが少し低下している段階から対策(食事管理、運動など)を講じることができれば、糖尿病の発症そのものを予防できるかもしれません。
このように、 isCGM(リブレ®)は予防医学的な効果についても期待を感じさせます。
上記の項目に当てはまるような場合は、現時点では糖尿病の診断基準には当てはまらなくても、食後高血糖など、膵臓からのインスリン分泌機能が低下していたり、インスリンの効き目が悪くなっている可能性があります。
上記の項目に当てはまるような場合は、現時点では糖尿病の診断基準には当てはまらなくても、食後高血糖など、膵臓からのインスリン分泌機能が低下していたり、インスリンの効き目が悪くなっている可能性があります。
糖尿病治療や、 isCGM(リブレ®)を含めた持続血糖モニタリングシステムについて、もう少し詳しく知りたいという方は、下記リンク先からご覧ください。