糖尿病はインスリンの「不足」や「欠乏」など、うまく作用しないことで起こる病気です。インスリンがうまく作用しないと、食事で摂取した糖が血液にあふれてきます。この状態が「高血糖」です。高血糖を放置してしまうと、さまざまな合併症が引き起こされます。
糖尿病の治療は「薬」「運動」「食事」の3本柱で、「食事」が基本となります。
糖尿病の食事療法というと、厳しい制限があり大変なイメージがありますが、原則食べてはいけないものはありません!
(ただし、高血圧のある方は減塩が必要です。また、糖尿性腎症の方は量を控えた方が良いものがあります)
まずは食事のポイントを紹介します。
朝食を抜いたり、夜遅くに夕食を食べたりすると、肥満や血糖コントロール不良の原因となります。毎日決まった時間に3食きちんと食べることが、良好な血糖コントロールにつながります。
早食いをしたり、きちんと噛まずに飲み込んだりすると、血糖コントロールを乱します。毎回の食事において、ゆっくりよく噛んで食べることが重要です。
食物繊維が多い「野菜」「きのこ」「海藻」を先に食べ、その後に「ご飯」「パン」などの炭水化物を食べる順番が、良好な血糖コントロールにつながります。毎食これらの順番で食べるよう習慣づけましょう。
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2018-2019,p.29,文光堂2018
まずは、下記の式にあてはめ、1日に必要な適正エネルギー量を計算してみましょう。
1日の適正エネルギー量 (kcal) = 標準体重 (kg)a × 身体活動量b
標準体重 (kg) = 身長 (m) × 身長 (m)× 22
軽労作(デスクワークが多い職業など) 25~30 kcal/kg標準体重
普通の労作(立ち仕事が多い職業など) 30~35 kcal/kg標準体重
重い労作(力仕事が多い職業など) 35~ kcal/kg標準体重
例:糖尿太郎さんの場合(身長170 cmでデスクワークが多い職業)
次に栄養素のバランスについてです。「糖尿病診療ガイドライン2019」では、「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」のバランスが次のように定められています。
また、炭水化物の量にかかわらず、「食物繊維」は1日20g以上摂取することが推奨されていますので、積極的に野菜を食べましょう。
色々な栄養素を適量とるためには、さまざまな食品をバランスよく組み合わせることが重要です。
具体的な食事メニュー
これらを1日のなかで組み合わせて摂取することでバランスの良い食事に近づきます。
食事療法は、それぞれ自身に適した食事を摂取することが重要ですので、困ったことがあれば「管理栄養士」にご相談ください。改善に向けての方法やコツを一緒に考えていきましょう。その際、普段摂取している食事の写真や記録があると、より具体的なアドバイスを受けることができます。
当院では2020年度より、医師の指示に基づいて管理栄養士による栄養指導を行っています。患者さんのライフスタイルや食習慣、糖尿病の状態をしっかり把握したうえで、食べ方のコツや調理の際の工夫、献立など、具体的な取り組みについてお伝えします。
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
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栄養指導件数 | - | - | - | 1,900 |
A. 1日3食、バランスよく食べることです。
1日3食、バランスよく食べることです。バランスのよい食事とは、主食(米、パン、麺など)+主菜(肉、魚、豆腐、卵など)+副菜(野菜、きのこ類、海藻類)が揃った内容をいいます。
A. 管理栄養士が患者さん個々の体格や検査データをもとに、適正なエネルギー量を計算し、生活スタイルに合わせた食事の提案をしています。無理なく継続でき、効果が出る方法を提案していきます。
A. 基本的に食べてはいけないものはありません。糖尿病の食事療法は、食事制限ではなく、健康寿命を延ばすための健康食です。当院では、糖尿病学会のガイドラインに沿った食事療法を推奨しています。