息切れとは、どのような状態の
ことですか?
「息切れ」とは、息苦しさ、呼吸がしにくい感じ、呼吸をする時に苦しさを伴ったりする状態で「呼吸困難」とも言います。
何だか最近、「息が切れるなぁ」「肩で息をするようになったなぁ」、そんなことありませんか?「歳のせいかな?」と考えるかもしれませんが、年齢のせいだけではなく何か病気のサインかもしれません。健康な人でも、運動時には息切れを感じますし、また、年齢を重ねると軽い作業でも息切れすることはありますが、こうした症状が年齢的なものであるか、もしくは病的なものかを見分けることが大切です。
息切れがする場合、どのような
原因が考えられますか?
息切れは下記の通り、まずは大きく、①心臓疾患、②呼吸器疾患、③その他、に大きく分けることが出来ます。その中で一番重要なことは、命に関わる心臓疾患を適切に診断・治療し、悪化しないようにすることです。
①心臓 | 息切れ心筋梗塞、狭心症、心不全、弁膜症、心膜炎、拡張型心筋症、不整脈など。 |
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②肺 | 息切れ肺炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、咳喘息、気胸、肺塞栓症など。 |
③その他 | 息切れ貧血、甲状腺機能亢進症、腎機能障害、肝機能障害、自律神経失調症など。 |
息切れがする場合は、クリニックを
受診する方が良いですか?
上記のたくさんある病気を否定できた時に初めて、「年齢による」「運動不足による」と言えます。実際、臨床の現場では、「息切れ」の原因として「運動不足」は少なくありません。
ただ「息切れ」を安易に「運動不足」と決めつけて、無理な運動をすることは逆に危ないことですので、まずは一度循環器専門医を受診し、命に関わる心臓疾患がないかどうかを確認することが重要です。
大事なことは、安静にしている状態でも息切れがあるようなら、間違いなく病気が隠れていますので、すぐに循環器専門医を受診することをお勧めいたします。
息切れがする場合は、
どのような検査を行いますか?
まずは①心臓疾患や②呼吸器疾患の中にある重篤な疾患を確実に鑑別することを念頭に検査をします。スクリーニングのために心電図検査、胸部レントゲン撮影を行い、幅広く問題をチェックします。心不全が疑われる時には、心臓エコー検査や採血を組み合わせて、診断、治療の適応の有無を判断します。冠動脈疾患が疑われる時は、運動負荷試験、心臓CT検査、心臓カテーテル検査で精査をします。
心臓疾患を除外できたら、命に関わる可能性は低くなるので、まずは一安心できます。その後、呼吸器疾患の評価をしますが、特に気管支喘息との鑑別には呼吸機能検査が有用です。また貧血、肝機能障害、腎機能障害、甲状腺疾患などを疑った場合は、採血で判断できます。
息切れがする場合は、
どのような治療を行いますか?
息切れの原因が心臓疾患の場合、その原因(心不全、弁膜症、冠動脈疾患、不整脈など)に基づき治療を行います。基本となる治療法は、
①生活習慣改善、②運動療法、③薬物治療、④手術(心臓カテーテル治療・カテーテルアブレーション・ペースメーカー)となります。
一番頻度の高い心臓疾患は、「心不全」です。心不全とは“身体が必要としている酸素を十分量供給しきれていない状態”を言い、簡潔にのべると“心臓が弱って身体に水分がたまっている状態”です。余分なお水が肺にたまるから、「息切れ」につながるので、水分制限や塩分制限をしたり、心臓をサポートするお薬を内服したり、心臓のリハビリテーションを行ったりします。
1.生活習慣改善
過剰な水分や塩分を取らないようにすることが重要です。「健康のために水は2L飲もう!」とよく聞きますが、心臓の弱った方には逆効果ですので注意が必要です。
2.運動療法
(心臓リハビリテーション)
運動療法は、自律神経の状態を良好に保ち、心拍数を安定化する働きがあります。心不全のように弱った心臓には、弱った心臓に見合った運動強度があります。無理な運動は逆効果で危険を伴いますので注意が必要です。
3.薬物治療
心臓を保護し脈拍を安定化させるお薬や、身体に溜まった水分を外に逃がすお薬など、原因疾患に応じたお薬を選択します。