足や顔のむくみ

足や顔のむくみにはどのような
原因がありますか?

体がむくむ原因は様々ですが、むくみは、皮下(皮膚の下)に水分がたまってしまうために起こります。そのためむくみがひどくなると、押さえたら指の痕が残るようになります。むくみの原因としては水分の摂り過ぎ、塩分の摂り過ぎが一番多いです。昨今の健康ブームで「水を1日2L飲もう!」とよく聞きますが、若い人で心臓や腎臓機能が元気な方は悪くありませんが、高齢で心臓や腎臓病のある方はむくみの原因となりますので注意が必要です。
上記の水分摂取過多、塩分摂取過多以外には、座りっぱなしや運動不足、心臓や腎臓、肝臓機能といった臓器が原因のものなどが考えられます。

血流のうっ滞や、
血中の水分量過多が原因

塩分や水分の摂り過ぎ、座りっぱなしの姿勢、運動不足

心臓、腎臓、肝臓、甲状腺などの
臓器不全が原因

心臓機能の低下

心臓機能の低下心臓の働きが低下すると、心臓から全身に血液を十分に送れなくなります。腎臓に流れる血液の量が少なくなると、尿を作る働きが悪くなります。尿が作られないと水分が体内に貯留することになり、むくみが起こります。

腎臓機能の低下

腎臓機能の低下腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として体の外に排出する役割を担っています。腎臓の機能が何らかの原因で低下して、余分な水やナトリウムをうまく排泄できなくて体にたまってしまったり、腎臓から蛋白尿が大量に出てしまったために血液と体組織での水のバランスをうまくとることが出来なくなってむくみます。

肝臓機能の低下

肝臓機能の低下肝臓の機能が低下した状態では、タンパク質の生産や分解、或いは有害物の分解が十分に行われなくなってしまいます。
また、アルブミンも肝臓内で作られにくくなり低アルブミン血症となります。
低アルブミン血症の状態では、血管内の水分が血管外に移動してしまいます。その結果、身体中に余計な水分がたまってしまい、むくみにつながります。

甲状腺機能の低下

甲状腺機能の低下甲状腺は体のあらゆる細胞を元気にする「甲状腺ホルモン」を作っています。このホルモンが少なくなると、体のあちこちがむくんできます。甲状腺機能低下症の場合は、むくみだけでなく、「体重増加」「冷え」「便秘」「疲労感」「抜け毛」など、様々な元気がなくなる症状が起こり、時にはうつ病と間違われることもあります。

エコノミークラス症候群

エコノミークラス症候群長時間の飛行機移動などで血液の流れが悪くなったら、足に血栓ができることがあります。血液の流れがせき止められるため足はむくみますが、それを「深部静脈血栓症」と言います。深部静脈血栓症でできた血栓が肺に飛んでしまうことがあります。このことを「肺塞栓症」と言います。血栓が詰まる範囲が狭いと息切れなどの軽い症状ですみますが、範囲が広いと胸の痛みや呼吸困難などの症状が出現し、ひどくなると死に至ることもあります。

心臓の病気が原因で、
なぜ足や顔がむくむのですか?

心臓の働きが低下すると、心臓から全身に血液を十分に送れなくなります。そのため腎臓に届く血液の量が少なくなるため、尿を作る働きが悪くなります。尿が作られないと水分が体内に貯留することになり、むくみが起こります。重力によって水分はまずは足にたまります、そのため初めは、夕方のみむくみますが、ひどくなると朝起きた時からむくむようになります。さらにひどくなると顔(特にむくみやすい場所はまぶたです)までむくむようになりますので、その際は要注意です。

尿をつくるには腎臓への
十分な血流が必要

心不全では、腎臓に流れる
血液量が減ります。

血液送るよ~
尿作ってね!

血液送るよ~尿作ってね!

腎臓に血液を送れない…

腎臓に血液を送れない…

腎臓で尿をつくる働きも低下。

余分な水分は体の外へ出そう

余分な水分は体の外へ出そう

尿がつくれない…

尿がつくれない…

排出されない水分が体の
あらゆる場所に溜まって、
むくみとして現れてきます。

足がパンパン!

足がパンパン!

足や顔のむくみがある場合、
クリニックを受診した方が
よいですか?

年齢を重ねると、老化のために足はむくみやすくなります。そのためむくむ原因がない場合は、特に処置は不要です。ただむくみは、身体の何らかの変化・変調を表現していることが多く、その原因をチェックすることが重要です。息切れや呼吸困難の自覚症状、過剰な体重増加がある場合はすぐに受診してください。

足や顔のむくみがある場合、クリニックを受診した方がよいですか?

足のむくみで病気を疑う場合、
どのような検査を行いますか?

まずは重症度が高い「心不全」が原因でないかを確認します。そのため心電図、心臓エコー検査、胸部レントゲン検査をして心臓のチェックを行います。同時に採血検査で心不全の重症度を示すBNPの確認をしながら、貧血、腎臓機能、肝臓機能、甲状腺機能などを幅広くチェックすることで、多くの疾患を除外します。「エコノミークラス症候群」についてはD-ダイマーという採血項目で血栓のできやすさを把握できます。下肢血管エコー造影CT検査で、血栓の広がり具合を確認して治療方針を決めることになります。エコノミークラス症候群で一番重要なことは、血栓が肺に飛んでしまって「肺塞栓症」になっていないかをきちんと把握することです。肺塞栓症は命に関わる疾患のため、合併した場合、重症度が上がります。
上記の検査を実施して問題のない場合は、①水分過多、②塩分摂取過剰、③運動不足のどれかに当てはまることが多いです。1日の塩分摂取量は尿検査で把握できますので、チェックしながら生活習慣の是正を行っていきます。

心臓・血管の検査について

心臓病(心不全)が原因の場合、
どのような治療を行いますか?

水分、塩分制限

水分、塩分制限
水分、塩分制限

★塩分制限(1日6gを目標に)★
★水分制限(1日1,000~1,200mlを目標に)★

むくみは身体に水分が過剰にたまっている状態ですので、まずはむくみの原因となる水分と塩分を摂り過ぎないことから治療が始まります。これが一番簡単でお金のかからない治療法です。ただ長年の生活習慣は身体に染み付いており、是正するのは簡単ではありません。一番効果的な方法はわれわれ医療スタッフと一緒に治療を継続していくことです。そのためには手帳に毎日体重を記録していってもらい、ご自身の身体をご自身でメンテナンスをする意識が重要です。適切に管理ができていれば、水分が外に逃げていくため体重が落ち、むくみもなくなっていきます。

薬物治療

薬物治療心臓の負担を軽くするお薬を内服して頂きます。
生活習慣の是正でもむくみが改善しないようなら、おしっこを出すお薬(利尿剤)を併用して余分な水分を身体の外に排出させ、むくみを改善させます。利尿剤はむくみをとるにはいいお薬なのですが、使いすぎたら脱水になったり、腎機能が悪くなったりしますので、可能な限り使わない、使うとしても少量に留めることが重要です。
重要なことは、利尿剤は「諸刃の剣」であるということです。
むくみに対して利尿剤を投与する適応は、①むくみがひどすぎて歩きにくく、生活に支障がある時、②むくみが足のみならず顔やまぶたにも出てきている、など限定的になります。夕方のみむくむ、といった軽症に利尿剤を使うことは、利尿剤のデメリットの方が大きいことが多いです。

運動療法
(心臓リハビリテーション)

運動療法(心臓リハビリテーション)適切な運動療法は、心臓や血管機能の改善をもたらし、血液の循環をよくすることで、足にたまった水分を身体の外に排出させてくれます。運動療法は面倒に感じるかもしれませんが、一番安全で効果の大きい治療法です。ただお薬ほどすぐには効果が出ないため続けられる患者さんが少ないのが実情です。何事も当たり前のことを徹底的に継続することが病気を克服するコツなのだと思います。

【執筆者】
医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

【執筆者】医療法人糖心会べっぷ内科クリニック
理事長 別府浩毅

専門資格

日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会 療養指導医
日本循環器学会 循環器専門医
心臓リハビリテーション学会 心リハ指導士
日本腎臓学会
日本透析医学会 透析専門医

所属学会

日本内科学会
日本糖尿病学会
日本糖尿病・妊娠学会
日本糖尿病協会
日本循環器学会
心臓リハビリテーション学会
日本透析医学会

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