腎臓病と血圧の関係
腎臓の働きが悪くなると余分な塩分と水分の排泄が十分にできず、血液量が増加し、血圧が上がります。さらに、血圧が上がれば腎臓への負担が増え、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環が生じやすくなります。したがって、腎臓の働きを守るためにも血圧コントロールをすることはとても大切です。
血圧と関係する、腎臓の3つの働き
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- 塩分(ナトリウム)と水分(尿)の調節
塩分の摂り過ぎが高血圧の大敵であることはよく知られています。通常、腎臓は食事からとった余分な塩分を水分とともに体の外へ追い出す働きをしています。ところが、腎臓の働きが悪くなると、塩分と水分の排出がうまくできなくなって血液の量が増え、血圧が上がります。
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- 血圧を上げるホルモンの分泌
腎臓から分泌される「レニン」という酵素は、血圧を上げる作用をもつ「アンジオテンシンⅡ」というホルモンをつくるのに欠かせない物質で、これによって腎臓は血圧を一定に保つ手助けをしています。ところが腎臓の働きが悪くなると、血圧を調節する能力は低下するため高血圧になる傾向があります。
- 末梢血管の抵抗
腎臓は無数の細い血管(末梢血管)から成っており、老廃物を含んだ血液は腎臓でろ過されてきれいになり心臓へ戻されます。ところが腎臓の働きが悪くなって血圧が上がると、これらの末梢血管が硬くなり血液が流れにくくなります。このため、末梢血管抵抗が大きくなって血圧はさらに上がります。
高血圧をしっかりコントロールすることで、腎臓病を防ぎましょう
慢性腎臓病の発症と進行には、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が強く関与するといわれています。
生活習慣病の中でも、特に高血圧は腎臓と深い関係があります。
高血圧が続くと腎臓機能が低下し、また腎臓の機能が悪くなると高血圧をまねく、という悪循環がみられるのです。高血圧と腎臓には、それほど密接な関係があります。
慢性腎臓病は痛みなどの目立つ自覚症状がないため、血圧が高めでも腎臓の障害を放置していることが多く、気づいたときには重症化していて、透析治療が必要とされるケースも少なくありません。さらに慢性腎臓病は、心血管疾患(心臓病や脳卒中など)の重要な原因の一つとしても注目されています。