口呼吸になる・口が渇く
人は本来「鼻呼吸」であることが望ましいとされています。鼻には、鼻毛や扁桃組織によってウイルスや埃、花粉などをキャッチし、鼻水で排出させるという、口にはない機能が備わっているためです。
また口呼吸は、口内の乾燥を招く原因にもなります。
口呼吸を続けると
口呼吸は、風邪やインフルエンザ、口臭、虫歯・歯周病、ドライマウスなど、さまざまなトラブルの原因となります。
またお子様の場合は、顎の発達や歯並びにも影響すると言われています。
口呼吸になる・口の中が乾く原因と改善について
考えられる原因・疾患
アレルギー性鼻炎・花粉症
花粉やハウスダストなどを原因として起こる鼻炎です。鼻水、鼻詰まり、くしゃみを三大症状とします。そのほか、目や喉に症状が現れることもあります。
鼻水・鼻詰まりによって鼻呼吸が難しくなり、口呼吸になっているケースが目立ちます。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
細菌・ウイルス感染、鼻中隔湾曲症、アレルギーなどを原因として副鼻腔での炎症が慢性化した病気です。
症状の1つに、鼻詰まりがあります。そのほか、黄色っぽい鼻水、鼻ポリープ、後鼻漏、嗅覚障害などの症状も見られます。
鼻詰まりなどの症状によって、口呼吸になってしまいます。
睡眠時無呼吸症候群
10秒以上の無呼吸状態が、睡眠中に何度も繰り返されます。口呼吸になると舌が後方へと落ち込みやすいため、睡眠時無呼吸症候群を合併していることが多くなります。
シェーグレン症候群
口の渇き、目の乾き、鼻腔の渇きが認められる病気です。膠原病にしばしば合併します。
根本的な治療法は未だ確立されておらず、対処療法によって症状を抑える治療が行われます。
糖尿病
インスリンの分泌や働きに問題が生じ、血糖値が慢性的に高くなる病気です。この糖尿病の初期症状として、口内の渇き、多飲が見られることがあります。
ただし、糖尿病はもともと症状に乏しい病気です。定期健診で血糖値の異常を指摘されたら、症状の有無に関係なく、必ず内科を受診してください。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血の場合、口の渇きとともに多量の水分補給が認められます。一年中冷たい飲み物を飲む、氷をガリガリ食べるといった人は、鉄欠乏性貧血を疑いましょう。
原因・疾患の検査について
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、ご自宅での簡易検査を受けていただきます。センサーを鼻と手指に取り付ければ、あとは普段通りに眠るだけで終わる簡単な検査です。
必要に応じて、脳波の測定などを含み、より詳細なデータが取得できる精密検査を追加します。
検査結果について
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、CPAP療法、生活習慣指導などによる治療を行います。
睡眠時無呼吸症候群ではないと診断された場合には、その症状に応じた検査・治療を行います。もちろん、各専門の医療機関をご紹介することも可能です。
改善方法
口呼吸の場合
鼻呼吸テープを使ってみる
ドラッグストアなどで、鼻呼吸テープというものが売られています。口を閉じるタイプや、鼻腔を広げるタイプがあります。両方を使ってみても構いません。
お口の周りの筋肉を鍛える
お口の周りの筋肉を鍛えれば、呼吸の際に自然に口が閉じられることが期待できます。よく知られたお口の体操に「あいうべ体操」があります。
クリニックを受診する
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの疾患が疑われる場合には、内科や耳鼻咽喉科など、クリニックを受診しましょう。
口が渇く場合
顔面体操
お顔の筋肉を鍛えることで、口を閉じやすく、また唾液が出やすくします。
- 口を横に大きく開きます。声を出さずに「ニッ」と笑うような感じです。
- 口笛を吹く時のように、口先を突き出します。できるだけ前に伸ばしてください
- 口の中に空気を溜め、口を閉じ、頬を膨らませます。
- 大きく息を吸い込みます。
舌のストレッチ
舌を動かすことで、唾液の分泌が促されます。また、口を閉じやすくなります。
- 口を開けたまま、舌を先方に大きく突き出します。
- 口を大きく開け、舌先を上顎につけます。
- 口を開けたまま、舌を前方に出し、左右に大きく往復させます。
- 口を開けて、舌先で唇を一周舐めます。
- 唾液腺マッサージ
加齢などにより、唾液の分泌は徐々に低下していきます。唾液腺を刺激することで、唾液の分泌を促進しましょう。 - 耳下腺マッサージ
親指以外の4本の指を揃えて、頬の上から、上顎の奥歯のあたりに添えます。その4本の指で、後方から前方へと向けて、皮膚を優しく押します。 - 顎下腺マッサージ
親指をエラの下のくぼみに当てます。そのまま、顎先へと移動しながら、骨の内側を連続的に押していきます。 - 舌下腺マッサージ
親指で、顎先の骨の内側を、上に向かってゆっくりと押します。
口呼吸や口の渇きの原因はさまざまです。中には、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、糖尿病などの疾患によって引き起こされるものも存在します。
その中で特に、いびきや無呼吸、日中の眠気や倦怠感の症状がある場合には、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。放置していると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった重大な疾患、あるいは強い眠気による仕事上のミス、交通事故へとつながることもあります。
疑わしい症状に気づいた時には、お早めに当院にご相談ください。