いびき・いびきがうるさい
睡眠中にいびきをかいたり、呼吸が止まったりして、家族やパートナーから指摘されたことはありますか?もしかすると、それは「睡眠時無呼吸症」かもしれません。睡眠時無呼吸症の中でも特に一般的なのは、上気道の閉塞による「閉塞性睡眠時無呼吸症」です。
国内では、約900万人以上の患者がいると推定されています。しかし、自覚症状が軽いため、実際に治療を受けているのは50万人未満とされています。最近では、この疾患が高血圧、心筋梗塞、糖尿病などの悪化要因となることが知られるようになりました。
このページでは、いびきの原因や疑われる疾患について詳しくご紹介していきます。
いびきを放っておくと危険?
「いびきは睡眠時無呼吸症候群のサインかも」ということがだんだんと知られるようになり、心配されて受診される方が増えています。その中には、検査の結果、睡眠時無呼吸症候群であったというケースが少なくありません。
しかしいびきは、鼻づまりや生活習慣などによっても起こり得る症状です。ですので、いびきだから睡眠時無呼吸症候群に違いない、心筋梗塞や脳梗塞になる、と過度に心配する必要はありません。
大切なのは、早めに医療機関を受診し、いびきの原因を明らかにし、その治療や対処を行うことです。
いびきの原因
鼻づまり
風邪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、あるいは鼻中隔湾曲症などによって鼻づまりが起こると、どうしても口で呼吸をしてしまいます。
口呼吸は、鼻呼吸と比べると気道が閉塞しやすく、いびきも起こりやすくなります。
生活習慣
寝酒、仰向け寝などの習慣は、気道が狭くなる原因となります。その他、睡眠薬を原因として無呼吸やいびきのリスクが高くなることもあります。
また食べ過ぎ・飲み過ぎ、運動不足などは、次の項目で触れる「肥満」のリスク要因となります。
睡眠時無呼吸症候群
肥満、下顎が小さい・後方に位置している、舌が大きい、扁桃・アデノイド肥大などによって気道が狭くなり、睡眠中に何度も無呼吸状態を繰り返してしまうのが「睡眠時無呼吸症候群」です。
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状として、いびきが見られます。
ストレスもいびきの原因?
生活習慣病など、さまざまな疾患との関連が指摘される「ストレス」ですが、いびきの原因になることもあります。
口呼吸になりやすいため
ストレスが溜まると、人は呼吸が浅くなります。この時、身体は酸素の不足を感じ、より多くの酸素を取り込める口呼吸を促します。
口呼吸は、舌が後方へと落ち込む原因となり、無呼吸およびいびきを引き起こすことがあります。
全身の筋肉が緩むため
ストレスが溜まりすぎると、身体は休息を求め筋肉を弛緩させます。のどまわりの筋肉が緩むと、やはり気道が狭くなり、無呼吸・いびきの原因となることがあります。
セロトニンが減少するため
過剰なストレスを感じると、セロトニンという神経伝達物質が減少します。セロトニンの作用の1つである「上気道を広げる筋肉の刺激」も低下することで、無呼吸やいびきが起こりやすくなります。
なおセロトニンには、心の安定や落ち着きを取り戻す作用もあります。
自分でできるいびき対策
ご自身でできるいびき対策をご紹介します。ただ、注意が必要なのは、いびきがなくなったからといって、睡眠時無呼吸症候群ではない、とは言い切れない点です。
夜間の無呼吸や覚醒、日中の強い眠気や倦怠感などが続く場合には、お早めに当院にご相談ください。
適正体重の維持
適正体重を維持する、肥満を解消するといったことで、のどまわりの脂肪も少なくなり、いびきおよび無呼吸のリスクが低くなります。
飲み過ぎない・寝酒をしない
アルコールを飲むと、のどまわりの筋肉が弛緩し、気道が狭くなります。すると、いびきや無呼吸が起こりやすくなります。特に寝酒は避けましょう。
風邪をひかない
風邪をひくなどして鼻づまりになると、口呼吸となり、気道が狭くなります。
生活習慣に気をつけて風邪を予防することが、いびきの予防につながります。
寝姿勢の工夫
仰向けで寝ると、舌の根がのどへと落ち、いびきが起こりやすくなります。いびきのある方は、横向きで寝ることをおすすめします。
部屋の湿度を調整する
部屋の湿度が低いと、空気の乾燥からのどの炎症が起こりやすくなります。のどが腫れ、気道が狭くなると、いびきのリスクが高まります。のどの腫れが治まれば気道も元通りになりますが、日ごろから湿度を50~60%に調整しておくことで、こういったことも起こりにくくなります。
睡眠時無呼吸症候群には、しばしば「いびき」が見られます。ご自身ではなかなか気づけないため、起床直後の倦怠感、日中の強い眠気といった症状が続く場合には、お早めに当院にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群を放置していると、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞といった重大な疾患のリスクが高まるだけでなく、日中の強い眠気によって、仕事上のミスや交通事故にもつながるおそれがあります。