睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、以下のような検査を行います。
簡易検査
手指に酸素状態を検知するセンサーを、鼻に呼吸状態を検知するセンサーを装着し、普段通り夜に眠っていただく検査です。
ご自宅で受けていただくことができます。
精密検査
簡易検査で診断に至らなかった場合には、精密検査が必要になります。精密検査では、簡易検査で調べる項目に加え、脳波や筋電図、眼球の動きなども調べます。
従来は病院へと1泊入院をして行う必要がありましたが、現在ではご自宅でも受けていただけるようになっています。
睡眠時無呼吸症候群の検査の流れ
Step1 睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を行っている医療機関を探す
インターネットなどで、睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を行っているクリニックを探しましょう。
かかりつけの先生がいる場合には、紹介してもらうのも良いでしょう。
Step2 受診
クリニックを受診します。
問診では、症状や既往歴などをお尋ねします。夜間の症状がご自身では気づきにくいため、予めご家族などにいびき・無呼吸といった症状の有無について確認しておくことをおすすめします。もちろん、受診の際にご家族に付き添ってもらっても構いません。
Step3 ご自宅での簡易検査
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると判断されれば、ご自宅での簡易検査を行います。
指先と鼻の下にセンサーをつけるだけで、あとは普段通り、夜に眠っていただきます。
後日、記録された情報をもとに、医師が診断します。睡眠時無呼吸症候群の診断がつけば、治療へと移行します。
簡易検査の結果のみで治療となる場合
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度は、無呼吸低呼吸指数(AHI)を用いて評価されます。
AHIは一晩の睡眠中における無呼吸や低呼吸の頻度を1時間あたりで測定し、診断します。SASの診断基準では、AHIが5回以上で日中の眠気などの自覚症状がある場合にSASと診断されます。
AHIの値による重症度分類では、AHIが5~15回の場合を軽症、15~30回の場合を中等症、30回以上の場合を重症とされています。
簡易検査では、AHIが40以上で眠気などSASの症状が明らかな場合、CPAP療法が開始されます。一方、AHIが40未満の場合は、さらに精密検査である多変量睡眠検査(PSG検査)が必要とされます。また、CPAP療法後の治療効果を評価するためにも、検査が行われることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の診断
ESS(エプワース眠気尺度)問診表
日中の眠気を評価するテストとして、ESS(エプワース眠気尺度)があります。
24点満点で評価されますが、11点以上で日中の眠気が強いと判断します。
日中の眠気チェック項目 | ほとんど眠る | しばしば眠る | たまに眠る | ほとんど眠らない |
---|---|---|---|---|
すわって読書中 | 3 | 2 | 1 | 0 |
テレビを見ている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
会議、劇場などで積極的に発言などを せずにすわっている時 |
3 | 2 | 1 | 0 |
乗客として1時間続けて 自動車に乗っている時 |
3 | 2 | 1 | 0 |
午後に横になったとすれば、その時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
すわって人と話をしている時 | 3 | 2 | 1 | 0 |
アルコールを飲まずに昼食をとった後、 静かにすわっている時 |
3 | 2 | 1 | 0 |
自動車を運転中に信号や交通渋滞 などにより数分間止まったとき |
3 | 2 | 1 | 0 |
合計 |
全項目の合計点を算出し、下記の表を参考に程度を評価します。
0~5 | 日中の眠気少ない |
---|---|
5~11 | 日中軽度の眠気あり |
11~ | 日中強度の眠気あり |
(Johns MW: A new method for measuring daytime sleepiness; The Epworth sleepiness scale. Sleep 14: 540-545, 1991より引用改変)
睡眠障害の検査
まずはご自宅で簡易検査を行います。必要に応じて、精密検査を行います。
これらの検査の結果をもとに、医師が睡眠時無呼吸症候群の診断を行います。
口腔内のチェック
場合によっては、のどの奥、顎の形態などを調べる検査を追加します。
頭部レントゲン検査・頭部CT検査などが行われることもあります。
合併症検査
睡眠時無呼吸症候群と合併することの多い高血圧症、脂質異常症、糖尿病などについての検査を実施し、各疾患に応じた治療を行います。/p>
睡眠時無呼吸症候群の治療
経鼻的気道持続陽圧療法(CPAP療法)
睡眠時無呼吸症候群の治療として、現在主流となっているのが経鼻的気道持続陽圧療法(CPAP療法)です。
鼻に取り付けたマスクで、呼吸のリズムに合わせて空気を送り込む治療です。これにより気道が確保され、しっかりと呼吸をすることができます。
導入時に短期的な入院が必要になることもありますが、その後はご自宅で受けていただける治療です。
短期的な取り組み
すぐに、あるいは比較的短い期間で効果が期待できる取り組みとしては、以下のようなものがあります。
- のどの筋肉を弛緩させてしまうアルコールの節酒量・頻度を少なくする(特に寝酒は避ける)
- 顎や舌が下がる原因となる仰向けを避け、横向きで寝るようにする
- 睡眠薬を安易に使用しない、不眠の治療などで処方されている場合には医師に相談する
中・長期的な取り組み
- 食事、運動の習慣を改善し、適正体重を維持する
- 生活習慣を改善し、肥満を防ぐ
- 口呼吸から鼻呼吸へと改善する、鼻炎・副鼻腔炎がある場合には耳鼻咽喉科で治療を受ける